前回の思考プロセスを実際の店舗運営の内容にあてはめて、考えていきたいと思います。
一般的に小売業の場合、昨今の商業施設の出店やブランドの多様化に伴い、より一層人の入れ替わりが多いのが、小売業の現状でもあります。
年間で、30%~40%の人員が入れ替わる傾向にあるのも、悩ましい問題の一つです。
こういった環境の中、よく店舗の改題になるのが、新人育成です。
前回の記事では、
・生産現場のゴールは、生産量を継続的に最大限かすること。
・会社のゴール、継続的に利益を最大限かすること。
ということが、各分野でのゴールでした。
店舗運営の場合、現場では、
「継続的に売り上げを伸ばし続けること。」
が店舗運営のゴールですね。
もちろん、店舗によってボトルネックとなる事象の内容は異なります。
はじめに記載した、新人育成だったり、新人の受け入れ体制だったり、店長の能力だったりします。
その中で最もスピード感をもって改善すべきことが、ボトルネックだと考えてください。
今回は、仮にボトルネックが、「新人育成」 だとします。
その手順を思考プロセスに当てはめていきたいと思います。
(1)ボトルネックを見つける。
今回は、「新人育成」をボトルネックと仮定して進めます。しかし、先ほど記載したように、どの店舗のボトルネックも新人育成という訳ではありません。
一見、新人育成と思われることでも、
- 店長にそもそも教えるほどの知識や経験がない。
- 入社した新人の受け入れがうまくいっていない。
- 新人に悪い情報を吹き込む先輩がいる。
(2)ボトルネックについて同意を得る。
ボトルネックが、「新人育成」だとして、進めていきます。店舗は、1人では運営できず、メンバーがいます。
まずは、この課題についてメンバー全員から同意を得ます。
伝え方は様々ですが、
お店のゴールは、売上を継続的に上げていくことです。
それは、予算や前年比などといった考え方がある以上、当たり前のことですが、
なぜ、新人育成が必要なのかは、もっとかみ砕いて伝える必要があります。
「新人が成長することで、今より多くのお客様に喜んでもらえる。」
こういった表現が一番適切ではないかと思います。
店舗は、お客様に喜んで頂くためにあるわけですから、新人さんが早く成長することで、より多くのお客様に喜んでいただけるわけですね。
(3)ボトルネックの解決方法について同意を得る。
次は、解決方法です。店舗は、ほぼ1年を通して営業しているので、毎日店長が出勤できるわけではありません。
やはり、他の先輩スタッフにも協力してもらわないと、スピード感をもって新人育成を行うことは難しいです。
そのため、新人さんをどういうプランで何を重点的に育成していくのかを、具体化し先輩スタッフに協力してもらうことが重要です。
これが先輩スタッフに同意が得られれば、よりスピード感をもって、育成することが可能です。
(4)その解決方法でボトルネックが解決できることについて同意を得る。
店長は、店長になるまでの経験があったり、人材育成を行ってきた経験もある方がほとんどかと思いますが、先輩スタッフは、新人さんの受け入れが初めてだったり、教えることに自信がなかったりします。店長は、新人育成のプランに責任をもって、必ずこのプランで実行すれば、新人育成が可能ということについて、先輩スタッフにも同意を得なければなりませんね。
(5)どんな否定的な波及効果も克服することに同意する。
新人育成を行ううえでの否定的波及効果というと、- 新人さんに接客をしてもらうと、単価が下がって、自分の売上が取れない。
- 教えることで時間が取られ過ぎて自分の仕事ができない。
こういったことも、想定して対応していくことについても同意を得ておく必要があります。
(6)実施する際のいかなる障害も克服することに同意する。
新人育成を行い、実施する際の障害はその新人さんによっても様々です。- 覚えが悪い。
- 言ったことをやってくれない。
- 計算ができない。
- 笑顔がない。
- 何を考えているのか分からない。
当たり前のことですが、この障害も一緒に乗り越えていくことに同意を得てくださいね。
というような、手順で行っていけばいいと思います。
新人育成以外でも、ボトルネックになりうる問題は色々とありますが、その時々に応じてボトルネックを見つけ、継続的に改善していくことが、店舗の売上の確実なアップに繋がりますね。
シリーズ記事一覧
課題解決の方法 vol.1|生産ラインとボトルネック課題解決の方法 vol.2|ボトルネックの改善
課題解決の方法 vol.3|改善工程
課題解決の方法 vol.4|思考プロセス
課題解決の方法 vol.5|店舗運営の課題
商品紹介
この制約条件の理論については、大学在学中に経済学部の友人にとある本を教えてもらったことが、きっかけで勉強した内容ですので紹介しておきます。もともとは、分厚いビジネス小説なのでは、コミック版も出ていて読みやすい内容になっています。
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