売れる店舗、伸びる店舗の条件

昨今、ショッピングセンター(SC)の開発が盛んに行われ、駅型の施設や郊外店舗、アミューズ施設併設型と出店場所も多種多様になって来ています。

それに伴い、テナント側は、出店場所等店舗開発の内容によっては、社内競合が生まれたり顧客の分散が進むのが実情です。

そういったなか、商品面(MD)で強みを持っているブランドは、前年比を伸ばしているものの二桁成長(前年比110%以上)には届かず、ブランドの大きな成長は期待できない状況です。

ただ、どこのブランドでも、一際目立って成長する店舗があります。
前年比が110%以上で、過去の施設の状況(館内のリニューアルオープンや人員面)を踏まえても簡単には成し得ない売上成長です。

では、こういった店舗は、社内の他の店舗と同じ商品を展開し、同じ売り方をしているはずなのに、なぜここまで売上がのびているのだろうか?

今回は、ここに焦点を絞りたいと思います。

店舗の基礎情報

・取り扱いジャンル : 化粧品
・運営年数:5年
・坪数:7坪
・売上 : 3,500千円/月
・客数 : 1,100名/月
・客単価 : 3,200円/月
・人員面 : 所属スタッフ4名 (店長を含める。)
※詳細・・・社歴2年以上の社員2名、社歴6ヶ月未満の社員2名

現状

小型の雑貨店舗のよくある規模のお店かと思います。
この店舗が現在開店以来、過去最高の年商売上を記録しており、前年比が、120%を超えている月もあります。
オープン以来、フロアリニューアル等、テナントの大きな変更もありません。

他の店舗と比較して社内の他店舗と比較してみると、劣るところが多いです。

・新人比率が50%
・店長が就任2ヶ月(当社社歴は、5年)

販売職は、流動性が高い職種のため、新人比率が半分を締めることは良くあることです。
しかし、化粧品という顧客化できてこそのジャンルでは、人の定着化と売上は比例関係にあるため、離職が売上の低下につながってしまいます。

にも関わらず、売上が伸びているのはなぜだろうか?

会社立場とお客様立場からみるお店

会社の立場から見たときに売れるお店の条件は、上記にも記載したとおり、人が定着化し、

商品知識と販売経験のある販売員が定着した売場

ということになります。

お客様の立場から考えたときに、販売員の経験値の有無に気付く瞬間はいつだろうか?

自分がお客様でお店に行くときに、販売員の経験の有無を感じるのは、接客を受けたときです。
実際に店員さんと話して商品を勧められたときに自分の欲しいものの提案があって初めて良い店員さんと認識します。

つまり、お客様がお店の前を通る段階では、店員の経験値は分からないのです。

では、お店の前を通るお客様にとって、どういうお店が入りたいお店なのか?

ポイントは挨拶です。

お店の前を通るお客様にとって、唯一お店の雰囲気を感じとれるのが、挨拶です。

(1)挨拶のないお店。
(2)挨拶する声が小さく、お客様に聞こえないお店。
(3)挨拶する声は大きいが、お客様の方を向いていないお店。
(4)お客様の顔をみて、お客様に聞こえる声で挨拶しているお店。
(5)一人のお客様に対して、店員全員で(4)をしているお店。

上記(1)〜(5)を想像してください。
順にお客様にとって入ってみたいお店になっていることが分かると思います。

この店舗は、スタッフ一人一人の経験値は高くないが、全員で挨拶を行えるお店であり、入りたくなるお店となっているのです。

これにより、お客様がお客様を呼び、客数が飛躍的に伸び、売上増加に繋がっています。

売れる店舗、伸びる店舗とは

「来店頂いた全てのお客様一人一人に対して、スタッフ全員で感謝の気持ちを表現出来る店舗」

・来店頂いたお客様一人に対し、出勤スタッフ全員で「いらっしゃいませ」の挨拶が出来ること。
・購入の有無に関わらず、来店頂いたお客様一人に対して全員で「ありがとうございました。」の挨拶が出来ること。

もちろん、大手アパレルのように200坪以上売場面積があり、売場エリア担当が別れていたりすると全員で挨拶は難しい場合もありますが、どこまでの範囲で行えるかを決めて取り組むだけでお客様に与える店舗・ブランドの印象は大きく変わり客数が増えるはずだと考えます。

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